グラデーション方法
フリーモーション刺繍でグラデーションを表現する方法をいくつか紹介します。
- 芸術的な表面(ロング&ショートステッチ)
- 直線縫い
- ジグザグ縫い
- 粗めのステッチを重ねていく方法
- 砂縫いのグラデーション
芸術的な表面
特徴
芸術的な表面とはロシアの刺繍用語「Художественная гладь」の日本語訳です。色が滑らかに変化していく刺繍を指しています。直線縫いのステッチです。手刺繍のロング&ショートステッチに似た縫い方でグラデーションを表現します。短いステッチと長いステッチを交互に縫いギザギサの面で色をぼかしていきます。ストロークの長いステッチは綺麗に縫うには練習が必要です。
手順A
下の動画に沿って手順を説明しています。
- 上糸のテンションは弱めに設定します。
- 輪郭を直線縫いで縫います。
- 1行目 パターンの輪郭に沿ってサテンステッチをします。
- 2行目 2と同じ糸で1行目のステッチの中央付近~端からストロークを開始します。ステッチの両端がギザギザになるように長さをランダムに配置します。ステッチの境目ををぼかす感じで縫います。
- 3行目 ミシン糸の色を変えて前の列のステッチの中央付近~端からストロークを開始します。ステッチの両端がギザギザになるように長さをランダムに配置します。ステッチの境目の色をぼかす感じで縫います。短いステッチは1ストローク、長いステッチは1~2ストロークで縫います。
- 5を繰り返します。
参考動画
手順B
手順Aの3、4を手刺繍のように長いステッチと短いステッチを輪郭に沿って交互に配置する方法もあります。この方法は輪郭を揃えつつ長いステッチと短いステッチをランダムに縫うので難しいです。
作家さんによって多少縫い方に違いがありますが、要は手刺繍のロング&ショートステッチのように色が変わる境目をギザギザにして境界をぼかすように縫います。
使用法
植物、動物、人物、風景など色が変化していくあらゆる場面で使用できます。
注意点
- 隣接したステッチをV字にならないように平行に配置します。
- 花びらは中心に向かって放射状に縫います。
- 葉は静脈の方向に縫うと自然に見えます。
- 人間の顔は顔の筋肉の位置に応じて縫います。
- 動物は毛なみの方向に縫います。
- ミシンの速度を下げると綺麗に縫えます。
- 何色も色を変える場合は中央の色から縫って行く方法もあります。
実例
直線縫いの方法
特徴
以前紹介した「領域を埋める」記事の方法です。直線縫いで端をギザギザとなるように縫い、違う色の糸を混ぜ合わすようにして色を移行していきます。色鉛筆で色を混ぜ合わせてグラデーションを作るのに似た方法です。比較的簡単です。
手順
- 輪郭を直線縫いで縫います。
- 縫い目が1~3mm程度の直線縫いで列を縫い連ねていきます。
- 輪郭の反対側の端は色が馴染むようにギザギザになるように縫います。
- 次の色は3の縫い目と馴染むように両端をギザギザに縫います。
- 4を繰り返します。
参考動画
ジグザク縫いの方法
特徴
横振り刺繍で良く使われている方法です。フリーモーション刺繍のジグザグ縫いでも応用できます。ジグザグで縫いつつ刺繍枠を水平に振って色をぼかす手法です。
手順
- 一行目 輪郭に沿ってジグザグ縫いをします。
- 二行目 同じ色で少しずらした位置から縫います。端がギザギザになるように刺繍枠を水平に振って縫います。
- 三行目 色を変えてギザギザの面の色を混ぜ合わせ境目をぼかすように縫います。
- 3を繰り返します。
参考動画
粗めのステッチを重ねていく方法
特徴
横振り刺繍で良く使われる方法です。フリーモーション刺繍のジグザグ縫いでも応用できます。練習が必要ですがグラデーションが綺麗にできます。
手順
下の動画に沿って手順を説明しています。
- 一番外側の行は輪郭に沿って隙間がないようにサテンステッチをします。往復する場合もあります。
- 次の行は粗いジグザグ縫いで前のサテンステッチと上手に馴染ませていきます。
- 端まで行ったら少し下ずらして隙間を埋めつつ戻ってきます。
- 三色以上ある場合は2.3を繰り返します。
参考動画
砂縫いのグラデーション方法
特徴
砂縫いはぐるぐる小さな円を描いて領域を埋めていくステッチです。上手に違う糸のステッチを混ぜ合わせて境目をぼかしていきます。綺麗なグラデーションになります。
参考動画